開講期日   9月5日(日) 

場所     明治大学生田プール 

参加人数   6名 

協力     プロショップ 「ヘイズ」 

開催責任者    竹谷光広 

開催主旨 

インターネッ上のUkiwaメーリングリストメンバーによる「浮き輪の事故・危険度!」による関心から卓上の議論で終わらせるのではなく、「実際の訓練を行ってみよう!」と言う発想から今回の訓練を行う運びとなりました。   

 

天候  晴れ  

気温  28度   

水温  27度 

プール水深1.7M 

訓練使用機種   

浮き輪    バックス社・ムスタング  Lew’s Deluxe 

リバレイ O型(トラックチューブ) 

リバレイ  SFS-105(U型 98年) 

Lew's Deluxe 

アルティメイト(アウトフィッター社) 

ウェーダー ダイワ タフウェーダー 

ダイワ パワーウエーダー フェルト底 サイズはS 

リバレイ チェストハイ・ウェーダー(ネオプレーン3mm) 

RedBall 3ply ナイロンブーツウェダー 

リバレイ・ナイロンウェーダー 

フィン     FlipFin 

kinugawaサファリスーパー ダイビング用 ゴム製 沈む 

リバレイ フローターフィン(98年モデル) 

スティルウォーター・ターボフィン 

ライフジャケット   リバレイ フローターベストカモ(98年モデル) 

スティアランズ コンペティションシリーズ 

スティアランズ  フローティション エイド(TYPEⅢ PFD) 

実地訓練(検証) 9:30~11:00 

 

学科講習 11:00~12:00 

 


訓練実施内容 

想定項目   

 

①U型フローターの転覆    参考 (ウェーダー・ライフジャケット着用) 

想定内容:

最初に横・後方に自力での転覆を試みるが、限界まで倒 るものの自力による転覆は無理 と判明 。 

次に人の手により前方(前方のバーを越えるように鉄棒の前転の要領で)に水没を行う。 

 

経過:   

転覆後(上半身のみ水中)と同時に大きなパニックを興し、ほぼ放心状態になる。 

   

* 生命の危険度は今回の中でもっとも大きかった。 

 

原因:ライフジャケットが浮力を生むため体が沈みにくく、体制を立て直しにくい。 

処方法:脱出方法としては、水中で逆さになった状態で、自力でフローターから足を抜く。 

 

② O型フローターの転覆 

想定内容:U型同様の結果が出る。 

 

考察 

U型ではフロントバー、全機種共通でエプロン及びシートストラップが転倒時に浮き輪から抜け出す際に脱出を妨げる。 特に大きなフィンを装着した場合などは危険である。 

 

③ U型フローターのパンク 

想定内容:空気取り入れ口よりエアー抜きを行う。 

    

経過:エアーが抜ける課程でエアーが後方に貯まりはじめ、非常に不安定な状態になり、人が沈みかける。

しかし、エアーが抜け始める課程で、後方(サブ気室)に体を倒し仰向けになることで、フローターのバランスが取れ安定する事が判明。 しかし、U型フローターの構造上ウルトラ・ライトチューブが使用されているため、短時間内に沈没すると考えられる。        

 

対処方法:最善の方法として考えられるのは、エアーが抜ける段階で出来るだけ早くフロータから脱出しフローターのサブ気室の 浮力を利用して浮くことが一番良いと思われる。  

 

④ O型フローターのパンク (タイヤチューブ) 

想定内容:フローターに鋭利な刃物で刺して穴をあけた。  

経過:穴をあけると同時に音を立てながエアーが抜ける。 次にバルブを抜きエアーが抜ける量を増やすが、緩やかな沈 

み方を始める。 

全体的にエアーが抜け、自分が座っている位置を中心に沈む。体が腰まで沈んだ状態でウエーダーに水が入り始める。 

次に、体を反転させサブ気室の方に体を向けサブ気室の浮力を利用して体勢を維持。 

 


     

考察  

 

 考えていたよりも、エアーの抜けに時間がかかり、穴が空くだけで即破損までには至らない。  よって、余裕を持って行動すれば、手短な上陸場所までたどり着くことは、十分に可能。ゴムチューブの場合、空気が抜ける時間は穴の空いた大きさに関係するが、実際に浮いている際に、今回ナイフで空けた大きさ以上の穴が空く可能性は低いと思われる。  よって、ゴムチューブの浮き輪のパンクは落ち着いて行動すれば、大事に至ることはなさそうである。 

 

 

⑤ エントリー時により転覆 

想定内容:ウェーディング中の歩行時による転倒。 

経過:転倒することによりウェーダ以内に水が侵入。 

    

1,ベルト着用  水没後、ベルトによりウエーダーと体が締め付けられ下半身に貯まっているエアーの抜けが悪い。   

2,ベルト未着用 水没後、ベルトによる体の締め付けがないため、足 の方からウェーダー内にある空気が抜けると同時に 

水が入る。  

 

結果: 

ベルトをしてない方が水没してからのウェーダー内の空気がベルト着用時よりも早く空気が抜けるため水没後、体の自由が比較的利き、ベルト着用時より水落→水没後の次の行動が早く行いやすい。 

    

⑥ ウェーディングによる危険度    

 足を滑らせ体が水中に水没したときは、体の浮力が極端に失われるため、ライフジャケットに必要性が再認識・実証された。   

 

総論 

U型フローター及びO型フローターの転覆は外的要因が加わらない限り転覆は考えにくく、及び起こりにくい事が判明した。 しかし、浮き輪にも大小のサイズがありこの点について言及すれば「サイズの大小により転覆の可能性は起こりうる。」と言わざる終えない。 この事は、自分の体重より積載量(kg)が小さく表記してある浮き輪に乗ることは、事実上の自殺行為だとい事である。 だが、メーカーによっては浮き輪のキャパシティ(積載量kg)を表記してあるので、これを守れば安全である。 

 また、人は自然界において無力であり、人の想像を超える現象が起こる。 時としてそれは天災であったり、外的要因であったりもする。 そのことを踏まえ考えると、やはり「転覆」は存在すると思う。 

 次にライフジャケットの必要性。 いかなる時でも最初から最後まで自分の生命を守ってくれるのは自分のライフジャケットしかないが、転覆訓練を行っている際には、ライフジャケットが無い方が、脱出は容易であった。 

 疑問が残ったのは、ウェーダーベルトの使用と未使用時には、双方に利点・欠点があることも解った。 

 フローターのパンク時の違いでは、U型の方がO型に比べ危険度が非常に高いことも解った。 

   

 全体で参加者の意見として出たのは、「一度は 転覆・沈・水没等の訓練をやった方が万が一の時にパニックに成らずに自分の身を守ることが出来るかも しれない。」と言うことでした。  

今回いろいろケースを想定し実証検分を行ったことにより、今まで言われていた事と相反することがあったのも事実です。 

今回の訓練を終えて”体張ってくれた参加者”と共に沢山の事を学ぶことが出来ました。 

今まで、「・・・・だろう。」「・・・・すると危ない。」とか「・・・すると危険。」だとか、憶測の中で情報が飛び交ってましたが、嘘と真実がわずかながら見えてきました。 

これから自分自身も含めフローターでの事故を出さないために、以上のような訓練が必要だと言うことを感じた。 

 

 


 

フローチャート 

転覆 

↓ 

脱出 

↓ 

  O型・U型 

↓ 

       1. 転覆後体を「くの字」にする。 

      2.次に体を180度ひねる。 

         3.ヒザを出来るだけ胸元に近づける。 

      4.足を、フロータから抜く。 

           5.水面に顔を出し呼吸を確保する。  

パンク 

↓ 

O型              U型 

↓               ↓ 

               ゴムチューブ         ウルトラライトチューブ 

↓ 

 同じ 

↓ 

落ち着いて安全の確保の為、仰向けの姿勢 

  上陸出来る場所まで (背面浮きの要領) 

  移動する。  後ろ向きにサブ気室に捕まり、浮力を確保 

 

上陸できる岸迄移動